【夢小説】依存(相手:パイロット)

ある日、その人は僕のプレイヤーとして現れた。

王に仕え、外敵を排除し、王国の平和を守る。それが僕の任務。
プレイヤーは、その任務の補助をしてくれる存在だ。

プレイヤーは僕達と会話はできないけど、僕が見ているよりも高い視点から現場を見ることができる。
それは、任務を遂行する上で、大きな武器になるだろう。

操られている感覚というものはなくて、あたかも自分の意思でそちらに行ったかのように体が動くので違和感はない。
プレイヤーからは、あまり細かい情報は見えないだろうから、看板やポスターなどの細かい情報は口に出して共有をする必要がある。
情報さえ共有すれば、僕では分からないことでもプレイヤーが解決してくれる。

プレイヤーは僕にとって、任務達成をスムーズに行うためのサポーター。第二の相棒という存在だった。
意思疎通ができないということを不便に感じたことはなかったけど、
いつしか、僕は画面の向こうにいる存在と会話をしてみたくなった。

年齢も性別も、名前以外の何もかもが分からないから話題には少し気を使うけど、
好きなものとか、苦手なものとか、趣味とか、色々知りたいことが沢山ある。
きっと、仕事仲間としてではなく、友達になれると思うんだ。

君とお喋りできる日を夢を見ながら、今日も亡霊を倒す。
亡霊がいなくなれば、王国に平和が戻り、みんなも笑顔で暮らすことができる。
でも、王国に平和が戻ったらプレイヤーはどうなるんだろう?

今はそばにいてくれるけど、プレイヤーの目的が僕には分からない。
僕を導いてくれるということは分かるけど、きっとそれは
プレイヤーの目的上、僕と一緒にいるのが都合がいいだけだと思う。

明日、目が覚めて亡霊と戦う時に、プレイヤーがいなかったらどうしよう?
今まで僕はどうやって戦ってたんだろう?
プレイヤーがいない時間の方が長いはずなのに、もう思い出せない。
プレイヤーとの接続が切れると、不安な気持ちが押し寄せてくる。

会話ができれば、ここまで不安にはならないんだろうなと、どうにもならないことを考えながら目を瞑り朝が来るのを待つ。
さよならの時は、せめてお互いに笑顔であることを祈ろう。